抽出エキスの皮下注射やツボ注射、サプリメント、化粧品で 長瀬眞彦著 文庫サイズ・48頁 まえがき —— 「プラセンタ療法」で効果を実感 現在、私はさまざまな疾患の治療にプラセンタ療法を取り入れていますが、この療法を最初に知ったのは二〇〇一年頃のことでした。
当時勤務していた、東京の八丁堀にある鉄砲洲診療所というところでプラセンタ療法が行なわれていたからです。
プラセンタとは母親のおなかの中で赤ちゃんを守り、育てる役割をもった「胎盤」のことです。
プラセンタ療法とは、つまりヒトや動物の胎盤から抽出したエキスを治療などに使う療法を意味します。
それまでに私は西洋医学、東洋医学ともに臨床研修を終えておりました。
そこで、東洋医学と西洋医学を併用できるその診療所に魅力を感じて勤め始めたのです。
そのとき、診療所を私に紹介してくれた医師が、「プラセンタ療法という、よくわからないものをやっているから、それには手を出さないほうがいいよ」と忠告してくれたのを覚えています。
しかしながら、日々の勤務の中で、プラセンタ療法を受けられている方が日に日に元気を取り戻す姿を見ているうちに、現代医療では治療が困難な、さまざまな疾患に有効であることがわかってきました。
「百聞は一見に如かず」というのが私のポリシーです。
また「患者さんにとって本当によいもので、その安全性がしっかりしているものなら、科学的根拠がそれほどなくても使うべきである」という信念もありましたので、やがて自分から積極的に使い始めました。
すると、ほかの担当医の患者さんと同じようにその効果を実感できたのです。
今では、西洋医学、東洋医学と同様にプラセンタ療法は私の治療に欠かせないものとなっています。
そして、患者さんがその恩恵を受けられてよくなっていかれるのを見るにつけ、「プラセンタ療法に出合えて本当によかった」と痛感しています。
この本を手にとっていただいた方に少しでもプラセンタ療法の素晴らしさを知っていただき、その恩恵を受ける方が少しでも増えることになれば、それに勝る喜びはありません。
●うつが半年間の治療でほぼ改善 三二歳の女性の患者さんは、医師にバセドウ病を指摘され、内服薬の投与を始めました。
しかし、気分の落ち込み、動悸、偏頭痛に悩まされるなどの症状がでて、近くの精神科を受診したところ、うつ病と診断され、抗うつ薬等を処方されています。
その後も、生理前に強くなる気分の落ち込み、頭痛、胃部不快感、動悸などの症状を訴えるたびに、薬ばかり処方されることに疑問を感じていたとのことです。
そこで通常のプラセンタ注射を二週間に一回始めたところ、半年後にはそれらの症状がほぼ改善し、喜ばしいことに妊娠するまでに状態が回復しました。
●シミの予防と改善 肌のトラブルの一つであるシミは、基底層のメラノサイトでつくられる黒褐色のメラニン色素が表皮や、時として真皮に沈着して生じます。
皮膚に紫外線が当たると有害な活性酸素が発生し、炎症を起こしやすくなりますが、それが刺激となって、紫外線を防ぐためにつくられるのがメラニン色素です。
通常は、皮膚の新陳代謝により、角質層まで移動し、はがれ落ちてしまうので、シミにはなりません。
しかし、浴びた紫外線の量が多く、活性酸素が大量に発生すると、それに応じてメラニン色素も過剰につくられます。
こうしたケースや、皮膚の新陳代謝機能が低下している場合などには、シミとして残りやすくなります。
プラセンタには活性酸素除去作用や抗炎症作用、そして新陳代謝を高める血行促進作用などがあるため、シミの予防や改善に効果的で、また、美白効果も期待できます。
目 次 —— 〈コラム〉「経絡」は生命エネルギーなどの通り道 第1章 プラセンタとは「胎盤」のこと ・胎児と母親とを結ぶ臓器 妊娠中につくられる臨時の臓器 胎児の発育を支える ・プラセンタは「万能の臓器」 受精後一三週頃に完成 さまざまな臓器の機能を代行 ・呼吸作用(肺の機能) ・代謝・解毒作用(肝臓の機能) ・排泄作用(腎臓の機能) ・内分泌作用(脳下垂体・卵巣の機能) ・免疫作用(脾臓の機能) ・消化作用(小腸の機能) 直接混じらない母親と胎児の血液 ・紀元前から薬用に用いられてきた ヒポクラテスが治療に利用 中国や韓国の文献にも登場 西洋医学的な使用法の開発 日本で注射剤などが開発される 第2章 いろいろなプラセンタ療法 ・栄養成分に富むプラセンタ 多彩な栄養素を含む 各種の「成長因子」も存在 ・幅広い薬理作用を発揮する プラセンタならではの薬理作用 ・自律神経調整作用……自律神経のバランスを整える。
・内分泌調整作用……ホルモンを調整する。
・免疫賦活作用および免疫調節作用……免疫力強化、その働きを正常に保つ。
・基礎代謝向上作用……基礎代謝を活発にし、細胞や臓器などの働きを高める。
・抗炎症作用……炎症を抑える。
・強肝、解毒作用……肝臓の働きを強化し、解毒作用などを高める。
・活性酸素除去作用……活性酸素による酸化を防ぐ。
・血行促進作用……血液の循環を改善する。
多様な疾患に効果がある ・アレルギー疾患……アトピー性皮膚炎、気管支喘息、花粉症など。
・産婦人科疾患……更年期障害、乳汁分泌不全、生理痛など。
・自己免疫疾患……関節リウマチなど。
・肝臓疾患……肝炎、肝硬変など。
・精神神経疾患……うつ病、自律神経失調症、不眠症など。
・整形外科疾患……肩こり、腰痛、ひざ痛など。
・がん治療によるQOLの低下 ・肌の老化……肌荒れ、乾燥肌など。
・自分に最適な療法を利用 ケースに応じて選択する 皮下や筋肉のほかツボにも注射 ・効果を高めるプラセンタのツボ注射 生薬としてもすぐれている 経絡上のツボや阿是穴を用いる ・腎兪、大腸兪、志室など(腰痛) ・天柱、風池、肩井、手三里など(頸肩腕症候群、肩こり) ・三陰交、血海、足三里など(婦人科疾患) ・尺沢、中府、肺兪など(気管支喘息) 第3章 こんな時プラセンタが役立つ ・更年期障害を緩和する 女性を悩ませる不快な諸症状 内服剤、サプリメントも効果的 ・アレルギー疾患を改善する 過剰反応が引き起こすアレルギー アトピーの症状が消えた ・関節リウマチの症状を軽減 自己免疫疾患の一種 CRP値が低下し痛みも改善 ・肝炎、肝硬変などの肝障害の改善 肝炎の元凶は活性酸素 活性酸素除去と肝臓の修復、再生 ・うつ病や月経前緊張症などにも効く ストレスの関与が大きい 月経前緊張症の症状が徐々に解消 うつが半年間の治療でほぼ改善 ・腰痛やひざ痛、肩こりを和らげる 中高年に多い腰痛やひざ痛 ツボ注射が特に効果的 ・放射線障害の回復にも有効 傷ついた遺伝子を修復 マウスの放射線障害が回復 ・美肌や美白などの美容効果もある シミの予防と改善 シワ、たるみを修復する 第4章 知れば安心のQ&A Q・プラセンタの安全性は? Q・副作用の心配は? Q・治療の頻度は? Q・どれほどの期間で効果が出るの? Q・注射とサプリメントの違いは? 【ハート出版ふるさと文庫】更年期障害、疼痛、美容などにプラセンタ療法